日本在宅ホスピス協会

第130号ニュースレター

会長就任の御挨拶

陽春の候、皆様におかれましてはご活躍のこととお喜び申し上げます。

この度の未曾有の震災では被災された方々にお見舞いを申し上げます。一日も早く元の生活に戻れますよう心よりお祈りいたします。

この度、川越厚先生、博美先生の後を受け、日本在宅ホスピス協会会長に就任いたしました。

「ホスピスケアは在宅でこそ理想の形が成就できる。本物の在宅ホスピスケアを日本に誕生させ、それを普及させ、そして、それを担う医療者をぜひ育てたい」という目的で始められた会です。全国各地にまかれたホスピスマインドの種は次々に芽を出し、花も咲き始めたところもたくさんあります。先生方、パリアンのスタッフ、事務局、役員の方々、13年間本当にお疲れ様でした。これから先生方の思いをしっかりと受け継ぎながら、時代に即したホスピスマインドを日本の真ん中『岐阜』より、全国に発信していきたいと思います。

昨年の全国大会でも話した通り、私のモットーは、「癒しを提供するものは自ら癒されなければならない」なので、癒しを得るための7か条を、患者、家族、関わるスタッフにも実践をしてもらっています。

もちろん、苦痛があってはいけません。疼痛ケアが大切です。医療者ができること、介護者ができることそれぞれが尊重し合い、ケアを受ける側、ケアを提供する側がともにケアを作り出していける在宅ホスピスケアを今後も広めていくよう微力ではありますが努力してまいりたいと存じます。

簡単ではございますが、書中をもちまして、ご挨拶申し上げます。

日本在宅ホスピス協会 会長 小笠原文雄(医療法人聖徳会 小笠原内科 院長)

第129号ニュースレター

『看護師の労務改善について』

24時間対応が必須 の在宅ホスピスケアは、医療者、特に看護師へ大きな負担を強いる。
パリアンでは創立当初の短期間を除いて、ファーストコール、セカンドコールをナースが担当してきた。医師はともかくとして、看護師の労働負担は大きく、その改善はパリアン創立当初から大きな課題であった。

当初、看護師は 通常の勤務を行いながら、1週間の24時間緊急当番!を担った。3年前に当番の翌週の火曜日を休みにし、さらに2年前より緊急当番を月火、水木、金~日に分け、当番明けの日は早めに退社できるようにした。金~日を担当した看護師は以前と同じく、火曜日を休みとした。加えて一日あたりの当番手当をアップし、夜間の訪問手当、死後のケア手当を新設した。処遇改善の効あってか、今年度の看護師の離職は既定の看護師1名のみであった。

高品質のケアを届けるためには看護師の処遇改善は不可避であり、パリアンのような濃厚な24時間ケアを行う訪問看護に対しては、診療報酬上の特別な配慮が必要だと考えている。

在宅ホスピス協会顧問 川越 厚(医療法人社団パリアン クリニック川越 院長)

第128号ニュースレター

『第13回在宅ホスピス協会全国大会イン岐阜を終えて』

10月8日~10日には皆さま岐阜までお越し下さり誠にありがとうございました。お陰さまで盛大で実りの多い大会になりましたこと感謝申し上げます。

平成22年1月から毎月1回、9月から2週に1回の土曜日午後に実行委員会を開催してきました。委員には地域の在宅医、訪問看護ステーション、がん拠点病院の医師、退院調整室の看護師、NPOなど51名の方になっていただき遠方から手弁当での参加やメールで意見交換しました。

大会のテーマ「独居でも大丈夫なの!?」のニュアンスのとおり、委員の中でも「大丈夫!」派と「?」派がいて、分科会をどのように構成するかを検討する途中で色んな考えや経験談が出ました。岐阜県内の在宅ホスピスケアに携わる熱い想いを持った方や、未だ在宅現場の様子がつかめないという拠点病院の医師も一堂に会し、新鮮な感じかつ温かさを感じながら非常に勉強になりました。この感覚は、分科会の最中も翌日の分科会報告のまとめを検討する中でもあって、多職種の実行委員の一体感・満足感につながりました。 今大会を機に岐阜県の在宅ホスピスケアがさらに発展すると確信しました。

懇親会では郡上踊り(お盆の徹夜踊りで有名)を、保存会による本物の唄とお囃子に乗って、会場いっぱいに老いも若きも、偉い先生もそうでない人も一緒に踊り、連帯感に浸ることができました。 3日目の市民公開シンポジウムは市民も約500名参加し大盛況でした。

最後に川越厚先生から創会当時を思い出す手作りの会とお褒めの言葉をいただきましたが、その大半は木村久美子さん、五島早苗さん、堀江八千代さんをはじめ小笠原内科スタッフの皆さんのご尽力のお陰です。患者さんや施設の方が心をこめて作って下さったお土産をスタッフが一つ一つ包んだり、プログラムを手作りで製本したり、毎晩勤務終了後大変にご苦労をおかけしました。この場を借りて御礼申し上げます。

分科会、市民公開講座、懇親会、オプショナルツアーと医師の学会総会と同じ内容を、手作りで行うのは非常に困難なことです。今後この分野は類似の研究会が増え、参加人数も増えると予想されます。時代とともに少しずつ大会の雰囲気も変わるでしょうが、我々実行委員が今回感じた何か温かい連帯感は大事にしたいと思います。

在宅ホスピス協会会員・第13回全国大会(岐阜)実行委員長 高木寛治(高木医院 院長)

第127号ニュースレター

『ようこそ  信長ゆかりの町  岐阜へ』

皆さん、やっとかめの再会ですね。

昨年、富山、高岡での大会で、在宅ホスピスケアについての熱い思いを語りあってから約一年がたちました。今年の日本在宅ホスピス協会全国大会は、日本のど真ん中岐阜で開催です。

現在、少子高齢化、核家族化により、独居の方が増えています。ここ岐阜の地でも例外ではなく、独居、老老、認認世帯が増加し続けています。小笠原内科では、家族の介護が期待できない、生活保護だったり、いわゆる在宅では困難例としてあげられる、独居の看取りを経験していくうちに看取りまでのシステムを確立しました。

そこで、今年度、大会のテーマを

「地域で支える在宅ホスピスケア ~独居でも大丈夫なの!?~」

とし、皆様とともに、独居でのさまざまなパターンの穏やかな看取りについて勉強してまいりたいと思います。
分科会では皆様より独居の症例を募集し、その症例について検討したいと思いますので、大会事務局までご連絡頂ければ幸いです(詳細は全国大会のページをご覧ください)。
また、最終日には、

『在宅ホスピスケアで朗らかに生きよう~おひとりさまでも安心!?~』

と題し、上野千鶴子氏、濱口道成氏、柳田邦男氏をお招きし、市民公開シンポジウムを企画しました。この魅力的なコラボにご期待下さい(詳細はこちらです)。

会場となるのは、『日本の温泉百選』にも選ばれ金運が上昇するといわれる長良川温泉、ウエルカムパーティーは、1300年まえの幽玄の世界へといざなう「鵜飼」、懇親会では徹夜踊りで有名な郡上踊りの体験、小旅行では金華山登山、国宝犬山城見学など皆様が楽しんでいただける企画を用意いたしております。

清流のせせらぎとたちこめる湯気に心癒しほぐされる岐阜の地で皆様を心からお待ち申しあげております。

在宅ホスピス協会会員・第13回全国大会(岐阜)大会長 小笠原文雄(小笠原内科 院長)

第126号ニュースレター

『在宅ホスピスチームがギアチェンジをサポートする』

つい数年前までは、在宅での看取りを覚悟して病院から退院する方の相談が殆どでした。
最近は、外来に通院している方からの相談が多くなりました。外来化学療法が普及し、通院できるぎりぎりまで化学療法を受ける患者が増えていることが背景にあるのでしょう。

外来化学療法を受けていたり、治療病院に通院している患者・家族に関るようになって、私たちは患者・家族と治療をあきらめる過程を共にし、抗がん治療をいつ止め、最期までの時間をどこでどのように過ごすかという意思決定をサポートすることが増えてきました。そのような日常から思うのは、やっぱり患者・家族ともに死を覚悟する時期があり、死を見据えた生の時間があるということ。

患者や家族が死と向き合いながら納得した人生を全うできるように、私たちは、ホスピスケアの理念を揺るぎなく持つことがいかに大切か、心に刻む今日このごろです。

在宅ホスピス協会会員 吉田美由紀(ベテル在宅療養支援センター 地域看護専門看護師)

第125号ニュースレター

新年おめでとうございます。

また新しい年を迎えました。皆さまいかがお過ごしでしょうか。
在宅ホスピスケアの取り組みが全国各地でいろいろな形で展開されていて、在宅ホスピスケアの拡がりを肌で感じる時代になりました。それでもまだ“これだ”というはっきりした形にならないのは、なぜでしょう。

WHOの緩和ケアの定義によって、緩和ケアが変化してきました。「ギアチャンジは必要ない」「最期まで治療と緩和ケアが並行して提供されるものだ」と言われ、がんと闘っている人々が多くいます。そのことは喜ばしいことですが、それでもがんで亡くなる人は減りません。
死について考えることなく最期を迎えなければならない人も増えています。 納得いく生を貫くためには、自分の死について見つめ、それを支える人々がいることがどんなに大切か、実践していらっしゃる皆さまには釈迦に説法だと思います。人にはできないこともあるとういう現実、死ななければならないということを知ることも必要なこと。
デーケン先生はよく「希望への祈り」を紹介され、死を見つめながらも希望をもって生き抜く生き方を、ユーモアを交えて教えて下さいます。私自身ががんになって死と直面してみて、本当にそうだと身にしみて感じています。

今年もまた、死を見つめながら精いっぱい生き抜く人々を、力をつくし心をこめて、支えていきたいと願っております。

神よ、私に変えられないことは、そのまま受け入れる平静さと、
変えられることはすぐにそれを行う勇気と、
そしてそれらを見分けるための知恵を与えてください。

 在宅ホスピス協会は小さな力ですが、在宅ホスピスケアが新たな発展をするために、今年は次のことを支援していきたいと考えております。

①在宅ホスピスケアを提供している機関を、ホスピス緩和ケア支援診療所、ホスピス緩和ケア訪問看護ステーションとしての全国ネットワークづくり
②地域の市民と力を合わせて、ひとり暮らしでも介護力がない人でも、地域で最期のときを過ごせるような緩和ケアグループホーム開設

秋には岐阜の全国大会(大会会長:小笠原文雄先生)で、実践を分かち合い、熱い議論が交わせますように願っております。
それぞれの場での皆さまのご活躍を心よりお祈り申し上げます。

在宅ホスピス協会会長 川越博美

第124号ニュースレター

『第12回 在宅ホスピス協会全国大会 in 高岡を終えて』

9月の下旬、25日のウエルカムパーティーから始まり、26日・27日と3日間にわたり、富山県は高岡市において在宅ホスピス協会の全国大会が行われました。幸い、天候は汗ばむくらいの秋晴れに恵まれて、2日目の午前中の高岡での小旅行も楽しんでいただけたようです。

今回のメインテーマは「病院から在宅へ」~在宅ホスピスケアの普及のために~として、病院からシームレスに在宅へお送りするための障害やKnow Howを話し合いました。
2日目の分科会では、Ⅰ:病院からみた連携のあり方、Ⅱ:地域・在宅から見た連携のあり方;介護支援専門員の立場から、Ⅲ:ご家族・ご遺族からみた連携のあり方、として各分科会にて真剣に富山県の立場から、また全国で推進している立場から意見交換をいたしました。特に、分科会Ⅲでは、ご遺族の皆様から実体験をもとに多くの意見をいただき、医療者の気付かないところもご指摘をいただきました。
懇親会では、富山県の代表的な民謡である、越中おわら節を胡弓の音に合わせて会場全体で踊りを体験いたしました。またゲームでは、偉い先生も皆、お顔に洗濯ばさみをつけられるなど、年齢や立場を越えて楽しんでいただきました。
3日目は、市民公開シンポジウムとして、『在宅ホスピスケア普及のために:~富山県の現状を踏まえて~』と題して、厚生労働省からの間先生を始め、富山県の各医療圏で在宅医療や医療行政に携わる各職種の皆様にご参集いただきました。約130名の参加者のもと、熱のこもった議論となり、富山県において、また全国的な在宅ホスピスケアにおいても、また一つの起爆剤となったことと思います。

今回の大会を通して、在宅ホスピスケアはこれからも決して容易に普及できるものではない分野ではありますが、真剣に取り組む富山県の医療者、そして全国の皆様によって確実に種が実を結んで行くものと確信いたしました。

来年は、岐阜です。小笠原先生へしっかりバトンをお渡ししました。 どうかこの1年、協会の皆様にとって、また在宅ホスピスケアの患者様にとっても有意義な1年でありますように、岐阜での報告を今から期待しております。 最後に、不慣れな大会運営となり、多くの皆様にご心配とご迷惑をおかけしたことと存じます。この場をおかりして、お詫びと御礼を申し上げます。

在宅ホスピス協会会員・第12回全国大会(高岡)大会長 村上 望(富山県済生会高岡病院 緩和ケア委員長)

第123号ニュースレター

『緩和ケア診療所設立の構想』

会員の皆様、お元気でお過ごしでしょうか。

在宅ホスピスを普及するために私的な勉強会を厚労省の方々と行なって参りました。
ここで中間的なまとめを皆様にご紹介したいと思います。
宜しければご意見を承りたく存じます。

要点① 在宅医療には特に専門性を要する分野があり、末期がん患者の在宅ケアはそれにあたる

要点② 末期がん患者を対象としたケアは、専門の診療所(PCC:Palliative Care Clinic)
を中心としたチームで主に担うべきである

要点③ チームの基本はPCCと、それと連携した訪問看護である

要点④ PCCは通常の診療所と連携してサービスを提供する

要点⑤ PCCは地域緩和ケアの教育・研修機関としても機能する

もし、このPCC構想が実現すれば、家で最期のときを過ごすことが出来る人が増えるでしょう。

皆様のご意見をメール等でお寄せ下さい。

在宅ホスピス協会顧問 川越 厚(医療法人社団パリアン理事長・クリニック川越院長

第122号ニュースレター

『ようこそ、万葉の町 高岡へ』

皆さん、1年ぶりの再会でしょうか、今年の在宅ホスピス協会全国大会は、北陸は富山県、高岡市で開催となりました。思えば1年前、愛媛・松山開催として坊ちゃん、そして千と千尋の神隠しゆかりの道後温泉・山の手ホテルで、在宅ホスピスケアについての現場での問題点を熱く語り合い勉強してから、それぞれ成長して新たな課題にぶつかってきたことと思います。

今回、大会を高岡で行うご指名をいただいた際、少々当惑していたことを思い出します。それは、私達病院医療者は本当の在宅ホスピスケアの現場を語り、討議する知識や経験を持ち合わせているのかという不安でした。本会会員の皆さんは、まさに毎日が在宅ホスピスケアの現場で汗をかき、涙を流して走り回っている方々であることは、ほんの少しの時間で十分に理解できました。

では、私達は、急性期病院の医療者は、高岡で何を提起すべきか。それは、がん患者の多くは病院での治療を受けていることから、病院と在宅ホスピスケアの現場がシームレスに連携され、患者が迷うことのない在宅ホスピスケアが提供されることだと考えました。

また最終日には、富山県における在宅ホスピスケア普及のためにと題して市民公開シンポジウムを企画いたしました。富山県でも各医療圏において在宅ケアに取り組んでいる在宅医、病院として在宅ホスピスケアを支える取り組みを始めた施設もあります。この議論を深めることで、現在最も在宅療養支援診療所の少ない富山県における在宅ホスピスケアが普及することを期待したいと思います。

「玉くしげ二上山に鳴く鳥の声の恋しさ時は来にけり」大伴家持が奈良の二上山と同字の高岡の二上山に望郷の念を抱きながら詠んだ歌ですが、皆さんもこの3日間、故郷を離れ高岡の地で熱く語っていただきたいと思います。

2日目には大会恒例の開催地での小旅行も用意いたしました。また懇親会では、松山でお約束した、富山ゆかりの民謡もお楽しみいただけると思います。開町400年記念の年、万葉の町、高岡で皆様を心からお待ち申し上げております。

在宅ホスピス協会会員・第12回全国大会(高岡)大会長 村上 望(富山県済生会高岡病院 緩和ケア委員長)

第121号ニュースレター

『命のリレー』

去年の8月23日、私のクリニックに一通のメールが届きました。

それは私が13年前に、在宅ホスピスケアの末に看取ったTさんのお孫さん将来(マサキ)君からのものでした。将来君は彼の母と祖母の介護日記を読み、祖父Tさんの「家で死にたい」という希望がかなえられた在宅ホスピスケアの顛末を聞いて、夏休みの宿題作文を書きたかったのです。私の返信を参考に書いた作文は、「命の作文コンクール」で銅賞となりました。

Tさんの在宅ホスピスケア期間は37日と短かったのですが、将来君(当時1歳)のお母さんのお腹には弟が宿っていたのです。将来君の祖母であるTさんの奥様は、「お父さんは、この子が生まれるところは見られないけど、見守ってあげてね。」と話せなくなった夫にやさしく伝えていました。

また、将来君は「今は在宅ホスピスや尊厳死について、まだ多くの人が知らないのではないかと思いますが、もっと多くの人に浸透して、自分らしい最期を迎える権利を選択できるようになることを望みます。」と作文を結んでいました。

これは真に命のリレーであり、彼の作文は看取りという文化の伝承ではないでしょうか!

在宅ホスピス協会会員 野村良彦(野村内科クリニック 院長)

Return Top