ニュースレター

第116号ニュースレター

『必要に迫られていたモルヒネ徐放製剤の開発』

ある先生からお聞きしたお話ですが、私がMSコンチン錠開発の意義を実感できた印象深い事例をご紹介させていただきます。

ご主人はがんの末期で、その痛み治療のため高用量のモルヒネ速放製剤を、4時間ごとに1日6回服用していました。介護は奥様がされていましたが、ある夜奥様が介護の疲れもあって寝過ごしてしまい、夜中2時の服用時間に間に合わなかったためにご主人が強い痛みに苦しまれたようです。奥様はご主人に大変申し訳ないことをしたと後悔され、それ以後ご主人が2時に薬を服用するまで床につかなくなりました。

ご夫婦には娘さんが一人おられ、その娘さんが母親の身体を気遣って「今夜、私がお父さんのお世話をしますから、お母さんは十分休養して下さい。」と話しました。奥様は、「有難う。では、今夜はお願いするわ。お父さんのお薬も忘れないでね。」と言って床につかれましたが、それでもお薬の時間になるとご主人の傍に起きて来られていたそうです。

発売後、モルヒネ速放製剤からMSコンチン錠に変薬した患者さんに感想を聞いて頂いたところ、
「夜この薬を服用すると朝まで服用しなくてよいのでホッとする。」
と多くの患者さんが話されているとお聞きし、上記の事例を思い浮かびました。同時に徐放製剤の開発が如何に必要に迫られていたかを理解することができました。

在宅ホスピス協会顧問 松本禎之(元塩野義製薬学術情報部)

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