ニュースレター

第140号ニュースレター

日本在宅ホスピス協会です。新しい年度が始まりました、今年度も皆様、どうぞよろし
くお願い致します。何かご要望等あればお気軽に事務局までご連絡ください。

始めに新役員のお知らせです。以前も役員をしていただいていたホームホスピス宮崎 かあさんの家の市原美穂さんと、今後、在宅ホスピスで重要な多職種連携のキーパーソン となる人材、トータルヘルスプランナー(THP)の育成に力を入れていきたいと思い、THP となる看護師の皆さんに新たにメンバーに加わっていただくことになりました。

<その他>
ホームホスピス宮崎 かあさんの家 市原美穂さん(宮崎県)
<看護師>
在宅ホスピスとちの木       片見明美さん(栃木県)
桜新町アーバンクリニック                片山智栄さん(東京都)
坂の上アーバンクリニック             細田 修さん(静岡県)
訪問看護ステーションななみ         冨士惠美子さん(愛知県)
長尾クリニック                            岡本法子さん(兵庫県)
にのさかクリニック        金﨑美穂さん(福岡県)
ナカノ在宅医療クリニック     泊奈津美さん(鹿児島県)

これからどうぞよろしくお願い致します。

現在、HHA のホームページに上野千鶴子さん、小笠原先生の 『上野千鶴子が聞く 小笠原先生、ひとりで家で死ねますか?』 と立川在宅ケアクリニックの井尾先生の『幸せな最期』を紹介 させていただいています。また、共著について書かれた上野千 鶴子さんの朝日新聞出版「一冊の本」3月号の巻頭エッセイも 掲載していますので是非ご覧になって下さい。また、会員の皆 様からの感想、他にこんな本が参考になったなども募集してい ます。もし、何かありましたら事務局までお願いします。
また、4 月 4 日に NHK『おはよう日本』で放映された「一人でも自宅で最期を」のリポ ートが 4 月 30 日の朝 8 時台のワールドニュースにて英語で放送されました『。ひとりでも、 最期まで家で過ごしたい。』が海外でも放映される時代です。やはり、世界中の方が最期ま で家にいたいのですね。在宅医療についてもっと多くの方に知ってもらうように今後も活 動していきたいと思います。
さて、今回のニュースレターは新しく役員になっていただいたかあさんの家 市原美穂
さんの夫、いちはら医院 市原美宏先生からのお便りです。
宮崎市郡医師会会報「一語一話」に書いた文章を寄せて頂きました。

旅を終えようとする人に立ち会う いちはら医院 市原 美宏

終末期医療というお題をいただいた。多分お立場によってこの言葉への受け取り方はさ まざまあると思われるが、わたしは、終末期に医療は関与を最小限に控えるのがよいと思 っている。癌末期であれ、脳血管障害であれ、超高齢で老衰に至っておられるのであれ。
ここで何を以て終末期というのかを改めて問題とせざるをえない。お役所や学会でも定 義することはできないし試みることも適当とは思えない。そうして現場の医療の最終責任 者である医師が決めることでもない。多分その人自身、その人のご家族あるいは介護看護 のキーパーソンであるご親族と、関与している医療チームとの間での漠然とした合意がで きた状況、といったことを、私個人としては考えているようである。

ここで「合意」はキーワードである。病状、経過の予測、の説明、話し合い、を必要に 応じて何度でも繰り返し、その都度「合意」を確かめていくことが大切で、常に変化する 病状にどのように対応するか、話し合いながら道を選択していくこととなる。これはいわ ゆるインフォームドコンセントと微妙に感触は違うと私は思っている。「合意」は問題が起 こるたび一緒に考えることで得られる信頼関係そのもので、それが得られれば、患者さん ともご家族とも、それを支えるべき医療介護スタッフとも、終末期をともに歩むことがで きると思っている。

医療には何ができるのか、が、次の問題であろう。実は最大の問題かもしれない。現代 医学ではできること(あるいはできるかもしれないこと)が加速度的に増えてきている。 それは看護、介護、あるいはリハビリ、口腔ケアや食物の工夫など実に多方面の分野でも 状況は同じで、日々新しい知識や技術が開発され応用されて、QOLを支え高める実績を あげている。
しかし、人は現に終末期を迎え臨終を迎える。浅学菲才の私は、様々な分野のプロに状 況に応じた対処をお願いしつつ往診診療をしているのだが、終末期に立ち会うことになる 時、それまでに培ってきた「合意」が、ご本人とそのご家族を中心とする医療看護などの チーム全体の思いを一つにする。そこでは別離の悲しみや様々な悔いはあるにしても、人 が生きてその生を完結しようとしていることへの敬意を、共有できる気がする。

ホメオスターシスを信頼し尊重する、処置や投薬などの(改善のための)医療をできる だけ控える、人生の最後の旅路を見守る、ときにはともに考える、といったことをいつも 自分の中で確認しているつもりである。自然科学的医学がどこへ行こうとしているのか、 私は気にすることをやめた。人生という旅をどのように完うするかは、その人自身の選ぶ ことであろう。医者は口出しを極力控えて、立会い見守るだけである。

宮崎市郡医師会会報「一語一話」より

 

ニュースレター第140号

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