ニュースレター

第149号ニュースレター

日本在宅ホスピス協会です。年が明け、早いものでもう 2 月も終わりです。新年のご挨拶が遅れましたが、今年も全国に在宅ホスピス緩和ケアの輪を広げる為に微力ながら活動していきたいと思 いますので、皆様ご協力の程、どうぞよろしくお願いいたします。

さて、福井での総会でお知らせし承認されたのを受け、2015 年 1 月 1 日より HHA ではトータルヘルスプランナー(THP)と呼ぶ、多職種連携の KeyPerson の認定を始めました。

HHAで認定するTHPとは?
在宅医療(ホスピス緩和ケア)のキーパーソンで、患者さんを看取りまで心豊かに支えると目標を掲げた時、将来起こりうるすべての障害を予測し、適宜対応することで目標を完遂できる、そういう視点と実行力(実力)を有する人材です。THPは患者の病状をはじめ、介護力の有無や経済状況、家族の考えなどを考慮し、患者の希望を実現できるチームを作ります。それぞれの得意分野や特徴、対応のスピード などを熟知し、地域にバラバラにいるメンバーを結集してまとめ上げていく役割を担い、チームの中で連携・協働・協調+介入をします。

THP は名古屋大学大学院医学研究科において平成 19 年 4 月に養成が始まりましたが、HHA の本部である小笠原内科でも“在宅版 THP”を平成 20 年より認定し始めました。現在 THP の認定を受けている方は看護師 30 名、MSW 1 名の計 31 名で、宮城県から鹿児島県まで全国にいらっしゃいます。小笠原内科で認定した THP は 5 年間の間、暫定的な HHA 認定 THP となります。

今後、新たに THP をなられる方はまず同封した THP 認定基準の自己採点で 30 点以上点数があ ることが第一条件です。自己採点で 30 点を満たした方は次に認定施設に研修に行っていただきます。認定施設での研修、面接(必要があれば本部での研修)を経て最終的に 80 点以上の点数を満たす方が THP と認定されます。THP として一番大切なのは実践能力ですので、認定は研修、面接 に重きを置いています。現在は看護師を念頭に置いて研修・認定を行っていますが、今後 MSW な どほかの職種の方の認定も検討していく予定です。

まだまだこの認定制度は始まったばかりですので検討していかなければいけないことも多いですが、皆様のご協力を得て、多くの方に THP の存在を知っていただけたら…と思っております。

一昨年、小笠原内科へ THP の研修に来てくださり、その後 THP として活躍していただいている高梁市川上診療所の大田文子さんからの THP レポートをお送りします。大田さんのように活躍 していただける THP がこれからも全国に増えることを祈っております。
THP についてのお問い合わせ、ご質問などはお気軽に小笠原内科内、日本在宅ホスピス協会事務局までお願いします。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


トータルヘルスプランナー(THP)取得 1 年を振り返って

社会福祉法人旭川荘 高梁市川上診療所
看護師 大田文子

一昨年7月、小笠原先生のもとにお伺いし、トータルヘルスプランナー(以後 THP)に ついてご指導を頂いてから、1年が経過しました。訪問診療や訪問看護に同行し、在宅医療、 THP の役割、地域連携のシステムについて学び、その後の業務に大きな力を頂いた研修でした。小笠原先生、訪問看護ステーションの在宅医療での積極的な関わりを見ることができ、 THP の機能を地域に広げ、看取りまでを支えていく姿勢に感激をして帰ったことを、今でもよく覚えています。

当診療所は、岡山県中西部の山間の町の国保診療所で、15年前より在宅医療、在宅緩和ケアを積極的に行ってきました。平成25年度は、年間2400件の往診、訪問診療を行っ ています。(※図1)特に、高齢化率約50%、独居・高齢者世帯も多い地域ですが、住み慣れた町で生活したい、最期まで家で暮らしたいという思いに寄り添って関わっていく中で、 介護力、介護者の問題で入院となるケースもありました。中山間地域で限られた医療・介護 サービス資源を効率的に利用し、在宅医療チームと地域や多職種との円滑で有効な連携を図るため、医療・介護の橋渡しをする「在宅医療コーディネーター」を 3 年前から担当し、介護職にもわかりやすく情報を伝え、在宅高齢者に適切でスピーディ―に対応するため、多職 種への連絡、調整、提案を行ってきました。

一昨年、研修に参加し THP とは、様々なサービスをコーディネートし多職種連携のキー パーソンとしての存在でなくてはならないということが分かりました。都市部では、医療機 関、介護サービスがすべて整備されていて、担当者会議の調整、医師、訪問看護師へのサポート、ケアマネジャー、介護職への教育、ボランティアの養成等連携の内容は多岐にわたっていました。医療の知識もあり、生活全体を支える訪問看護ステーションの看護師が中心と なり、THP はその先頭ではなく専門職がそれぞれに力を発揮できるための調整をすることが大切であると思いました。さらに、患者、家族、多職種との連携だけではなく、今後はもっと視野を広げ、地域住民に対して地域医療、緩和ケアの知識を広めていくことも必要だと 思います。

川上診療所のがん患者に対する在宅緩和ケアの実績は、THP 研修以前の平成19年7月 ~25年6月の 6 年間で57名です。そのうち、病院で亡くなった方18名、入院の理由の7割は介護力の不足でした。自宅か地域での看取りは39名、在宅看取り率68%でした。

THP 研修後の1年間で 9 名に在宅緩和ケアを行い、在宅看取り率は100%でした。こ のうち、1名は、高齢者住宅での看取り、1 名は、独居の方でした。(※表1)看取り率が 100%となった一番の理由は、介護者の支えがあったことで、最期まで住み慣れた家で暮らしたいとの思いを叶えることができたと思います。そして、THP の研修を受けたことで、 患者、家族の痛みや不安をサポートする自信と在宅医療チーム全体の多職種に対する相談窓口、医療的な知識の情報提供、生活を整える介護サービスの迅速な対応の提案などを意識してかかわることができたと思います。高齢者住宅での看取りは、地域での看取りのケースでもあり、見守りの地域住民の方への関わりにも配慮する役割を学ぶことができました。

また、昨年4月よりこの地域に必要とされていた24時間体制の訪問看護を始めました。 独居の方の看取りでは、病気や医療従事者の受け入れが困難な時期がありましたが、頻回の 訪問診療、訪問看護によって信頼関係が築け、不安はありましたが「この家がいちばんいい。」 という思いを叶えることができました。

これらのケースを通して、主治医との連携、看護師のモチベーションに繋がり訪問看護の役割をあらためて認識できたと思います。
THP の研修を通して、在宅医療に対しての様々な工夫を学ぶことができました。その、力を在宅看取り率アップや訪問看護のやる気へ繋げることができたと思います。 今後、地域住民にもはたらきかけ、在宅医療を支えていけるよう地域医療のレベルアップを図っていきたいと思います。

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ニュースレター第149号

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